京セラの創業者で、KDDIや日本航空の経営者だった稲盛和夫氏は「経営の神様」と言われ、集約された多くの言葉がある。例えば「この世を生きている意味とは、自分の魂を磨いていくことだ」、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」、「動機善なりや、私心なかりしか」、「困難は愛が形を変えたもの」、「環境が変わったら自分を変えよ」等々・・・。
その中に、「思い描いた夢は必ず実現する」というのがある。この言葉を聞いたときに、私は思った。信じて頑張ることは大切だが、その夢を実現する段階においては、種々の困難や予期せぬトラブル、環境の変化があるだろうし、“必ず”実現する、とは言い切れないのではないかと。
氏の出身大学「鹿児島大学」の稲盛記念会館前に銅像が建てられている、その碑文に「どんな逆境に遭遇しようとも/どれほど厳しい環境におかれようとも/挫けることなく/常に明るい希望を持ち/地道な努力を一歩一歩たゆまず続けていくならば/自分の思い描いた夢は/必ず実現する」と刻まれている。
「思い描いた夢は必ず実現する」の前提があったのです。それは、どんなに厳しい環境であっても、挫けず明るい希望を持ち、地道な努力を続けていけば、というもの。そうすれば、その夢は“必ず”実現する、と。ただ漠然とした願望をボーッと思い、実現したらいいな~、では実現するはずがない。それと、この「思い」が重要なのです。
彼の母校鹿児島玉龍高校で、氏は「君の思いは必ず実現する」というテーマで講演しており、その中で、「思い」について、こう語っている。
“「思う」ということが、人間のすべての行動の源、基本になっているのです。そのことは、二つの側面から捉えることができます。まず、我われが毎日の生活を送る中で抱く「思い」の集積されたものが、我われの人間性、人柄、人格を作り出しています。「自分だけよければいい」という、えげつない「思い」をずっと巡らせている人は、その「思い」と同じ、えげつない人間性、人柄、人格になっていきます。逆に思いやりに満ちた優しい「思い」を抱いている人は、知らず知らずのうちに、思いやりに溢れた人間性、人柄、人格になっていきます。
さらに、「思い」はもう一つ大きな役割を持っています。それは、「思い」の集積されたものが、その人に合ったような環境をつくっていく、ということです。あるいは、「思い」の蓄積されたものが、その人の運命をつくっていると言っても過言ではありません。
綺麗な美しい心で生きていく人は、素晴らしい人間性、人柄、人格になると同時に、その人の周囲にも、その人間性、人柄、人格に合ったような素晴らしい出来事が起こってきます。心に抱く「思い」というものは、それほど偉大な力を持っているのです。
そうです、「思い描いた夢は、必ず実現する」のです。
ラーニング・システムズ
高原コンサルティングオフィス
高原 要次















