「朋、遠方より来る有り、亦楽しからずや」

  先月、南米ブラジルに行った。10年ぶり10回目のブラジルであるが、その目的は移住している先輩達を訪ねることであった。
  私の学生時代は、中南米研究会に所属し、「フロンティア」を掲げて海外移住や海外雄飛を志向していた。同じ志を持つ全国56大学で「日本学生海外移住連盟(学移連)」を組織し、毎年十数名を選抜し、実習生として海外(南米・北米・アフリカ等)に派遣した。私も1975年に1年間ブラジルに派遣された。
  この学移連の仲間のうち、かなりの数の学生が卒業後ブラジル・アルゼンチン・カナダ等に移住した。ブラジルでは、ある者はサンパウロ近郊で野菜作りをやり、ある者は牧場を経営し、アマゾンではピメンタ(胡椒)栽培やカカオ、アサイ、パームヤシを育てた。
  あれから50年。異国で種々の苦難を経験し、大きな喜びも味わい、今次の世代にバトンを渡そうとしている。ただ、皆歳をとった・・・。今、会わねばもう会えない・・・。

  「論語」の最初の章句「学而第一」は、「子曰く、學びて時に之を習ふ、亦説ばしからずや。朋、遠方より来るあり、亦楽しからずや。」から始まる。
  ブラジルに住む先輩方にとって、私の訪問はまさに「朋、遠方より来るあり」であった。彼らは皆、会った瞬間跳びあがらんばかりに喜び、歓喜するであろうと想像していたが、さにあらず。目を合わせて微笑みながら近づき、ゆっくりと握手する。そして一言“よく来たな・・・!”これで、離れていた数年のブランクは吹っ飛び、一気に学生時代の感覚が蘇る。老学生に、じんわりと悦びが沸いてくる。
  「朋、遠方より来るあり、亦楽しからずや」。「朋」とは、単なる友人ではない。志を持ち、同じ師や同じ門に学び、文字通り学びを共有した同志である。その「朋」が訪ねて来てくれて語らう。人生で、これほど嬉しい楽しい瞬間があろうか!

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