「積善と報徳」

  中国の古典「易経」に、「積善之家必有餘慶(積善の家には必ず餘慶あり)」というのがある。それは、「善行を積み重ねた家には、その結果として子孫に必ず幸福がおとずれる」というものであるが、単に「善行を積み重ねていけばきっといいことがある」ということではない。
  つまり、善行を行っている本人に良いことが訪れるというのではなく、善行を積み重ねた家には、子孫に幸福がおとずれる。ということである。
  さらに続く、「積不善の家には必ず余殃あり(不善を積み重ねている家には必ず後世まで災禍が及ぶ)」と。

  二宮尊徳は、「善行」とほぼ同様のことを「徳行」と言っている。正確には「報徳」であるが、徳を以って特に報いる、と。
  物や人そのものにそなわっている「持ちまえ、取りえ、長所、美点、価値、恵み、おかげ」などを「徳」として、その徳をうまく使って社会に役立てていく(お返しする)ことを「報徳」と呼んだ。
  この考えは、「至誠」を基本とし、「勤労(きんろう)」「分度(ぶんど)」「推譲(すいじょう)」を実行するというもので、この「報徳思想」を実践するのが「報徳仕法」であり、二宮尊徳は報徳思想を広め、実践することにより、ききんや災害などで困っていた多くの藩や村を復興した。

  ● 至誠: 「まごころ」のこと。二宮尊徳の仕法や考え方、そして生き方の中心となるもの。
  ● 勤労: 物事をよく観察・認識し、社会の役立つ成果を考えながら働くこと。
  ● 分度: 自分の置かれた状況や立場をわきまえ、それぞれにふさわしい生活をすることが大切。また、収入に応じた一定の基準(分度)を決めて、その範囲内で生活することが必要。
  ● 推譲: 将来に向けて、生活の中で余ったお金を家族や子孫のために貯めておくこと(自譲)。また、他人や社会のために譲ること(他譲)。

  また、「大學」の冒頭には、「大學の道は明徳を明らかにするにあり、民に親しむにあり、至善に止まるにあり」とある。
  どうも、基本の基本は天の命じた性に従い、道に沿って、善なること徳なるものを実践することのようである。

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