「レンゲ米・・・」

  田植えを1か月後に控え、トラクターで満開のレンゲ草を鋤き込んでいる最中である。化学肥料は使わず、有機肥料とレンゲ草を使って作る我が家の米は、美味しいと評判である。
植物の肥料の要素は、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)。レンゲ草は窒素肥料になる。レンゲ草はマメ科の植物で、土壌中の根粒菌という微生物と共生している。その菌がレンゲ草の根っこに根粒と呼ばれるコブを作り、空気中の窒素を蓄えてくれる。レンゲ草を根ごと田んぼに鋤き込むことで、植物の成長に欠かせない栄養素である窒素を行き渡らせ、土壌を肥やすことができるのである。他の有機肥料も併せて使用するが、窒素肥料を過剰に与えると逆効果で軟弱な育ちになり病害虫に負けやすくなる。レンゲ草の田圃の肥料はその塩梅が難しい。
  一般的においしい米とされるのは、炊きあがりが美しく、ほんのりとした甘味と香りがあり、ふっくらと柔らかく、粘りと適度な硬さがあることと言われている。なかでも、米の粘りと硬さのバランスを左右するのがアミロースとアミロペクチン。粘りと硬さは、この2種類のでんぷんの比率で決まる。アミロペクチンの多いお米は粘りがあって、ほどよい歯ごたえがあり、アミロースの多いお米は、硬く、パサパサしている。アミロースの含有量が少ないほどおいしいというわけではないが、良食味の要素の一つである。稲の育つときの気温が高温で日射量が多いときはアミロースの含有量が低くなり、粘りのある米が出来る。人気の高いコシヒカリのアミロースの含有量は19%程度である。アミロースが多いお米は硬く、パサパサとした食感で、インディカ米に代表される。アミロペクチンが多い米は粘りがあり、歯ごたえが感じられ、もち米に代表される。
  レンゲ草を鋤き込むことと、アミロース、アミロペプチンとの関係は定かではないが、「レンゲ米」は旨いような気がする・・・。
  ところで、我が家の「レンゲ米」を“私が作っている”、と言うのはおこがましい。それを作っているのは「水」と「大地」と「太陽」である。私はただ、土を耕したり、水を調整したり、田の草とりをしているだけである。そして、そこにレンゲ草の力を借りている。

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