「鳥の眼・虫の眼・魚の眼」

  ビジネスにおいて、また人生においても、「ものごと」を3つの視点から見て、問題を把握し、解決の方向性を探ることは、大変有効のように思う。それは「鳥の眼」・「虫の眼」・「魚の眼」である。
  「鳥の眼」・・・鳥は高く飛ぶことができ、高い所から広く全体を見ることができる。「鳥の眼」とは全体を俯瞰し、総合的・全体的に見るマクロの視点である。
  「虫の眼」・・・虫は小さな生き物で、草木や地面などと直接接触して、間近で目にすることができる。「虫の眼」とは、物事に近づいて様々な角度から(複眼で)細部を見つめるミクロの視点である。
  「魚の眼」・・・魚は海や川の流れを感じ取りながら泳ぐ。「魚の眼」とは、潮の流れのような周りの変化、時代の流れを敏感に感じ取り、時間軸を点だけで捉えるのではなく、線として捉え、環境を長期的に、その流れを見る視点である。
  さて、ビジネスマン。新入社員や経験の浅い人には、「虫の眼」的な職務を持たせ、現場・現物・現実の三現主義を実践させて基本を身につけさせることが肝要。ところが、そこで経験を積み、それなりに仕事ができるようになると、「虫の眼」だけでは部分最適の偏った考えになりかねない。次のステップで必要となるのが「鳥の眼」である。管理職は、より広い視野で全体最適を考えて判断し、マネジメントしなければならない。但し、「虫の眼」が不要という訳ではない。部分と全体、状況によって「虫の眼」と「鳥の眼」で柔軟に判断して仕事をする術を身につける。そして、「虫の眼」と「鳥の眼」をバランスよく使えるようになったら、物事の本質を見極め、先を見通すことができる「魚の眼」が養われていく。経営者は、“未来を描き、今を変革する”ことがミッションである。本質を見極めた上で、この「魚の眼」の視点がなければその職を全うすることはできない。
  「鳥の眼」・「虫の眼」・「魚の眼」、この3つの眼は特にリーダーには必須の要件である。その上で最終的には、物事を分別して捉えるのではなく無分別智としての「総合的直観力」が智恵と言える。

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高原 要次