「仏教の教えとは・・・」

 昨年、檀那寺の「仏教壮年会」会長を引き受けることになった。種々の寺の行事をこなすことには問題はないのだが、私の内面で葛藤が始まった。そもそも、仏教の教えとは何かを私は理解していないのである・・・。

 我が家は浄土真宗の門徒で、代々門徒総代をつとめてきた。私も子供のころから祖母や父に連れられてお寺に参っていた。そして、今までに数百回もこの寺の住職の法話や説教を聞いている。

 「仏教の教えって何?」と祖母に訊いても、父に聞いても明確な答えをもらったことがない。「そもそも、仏教の教えとは何ですか?」と僧侶に問うても、長々とした説明はあっても端的で本質的な答えが返ってこない・・・。

 そこで、幾つかの仏教入門書とインド哲学の第一人者の中村元氏の本を読んでの私の結論は、

 仏陀の悟りとは“やすらぎの境地”、心の中の執着と欲望を捨ててやすらぐことが教えである。

 釈迦(仏陀)は、渇愛があるために此岸では人は真の幸せにはなれない、と説いた。

真の幸せになるためには川を渡って「彼岸へ渡れ」と教えた。これが仏教の基本メッセージである。

 そして「彼岸に渡る智慧」を述べたのが「般若波羅蜜多心経」である。

仏教には、多くの重要な言葉がある、例えば「縁起」、「因果応報」、「輪廻転生」、「八正道」、「中道」、「四諦」、「諸行無常」、「諸法無我」、「我他彼此」、「四苦八苦」、「小欲知足」、「涅槃寂静」・・・。一つひとつが奥深く難しい。

 そこで、「そもそも仏教の教えは」となれば、それは穏やかな心を持つこと、そのためには欲を捨てて(小さくして)、足るを知ること。私は、そう解釈する。

 

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高原コンサルティングオフィス

高原 要次