ラグビーワールドカップの“感動”

現在、ラグビーワールドカップが開催中、わが日本は予選リーグを4戦全勝で突破、惜しくも準々決勝で南アフリカに敗れはしたが、その戦いぶりに日本全国が感動した。強くなったということに対しては勿論、彼らのプレイ、一人ひとりの表情や汗、そしてどれほど激しい練習を重ねてきたかを思い、心を打たれた。

今回のラグビーワールドカップ、私は日本戦ではないがオーストラリア⇔カナダ戦を観戦した。2003年大会の日本代表監督の向井昭吾氏と気のおけない仲間3人と一緒に大分スタジアムに観に行った。まずは4万5千人収容のスタジアムに驚き、両チームの練習風景、試合開始前のオールブラックス(ニュージーランドチーム)の“ハカ”の儀式、洗練されたプレイの数々に心を奪われた。まさに感動そのものであった。

前野隆司氏(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)に「感動のメカニズム」という本がある。「感動とは、強い感銘を受けて深く心を動かされること」であるが、この本に「感動のSTAR分析」というものが紹介されている。

 

●S:Sense

 美、味、匂い、触、心地よさ、その他の感覚(五感で感じる感動)

●T:Think

 理解、納得、発見、圧倒、その他の知見の拡大(頭で考えて「知見の拡大」に感動)

●A:Act

 努力、上達、成長、進歩、達成、特別感、稀有、遭遇、幸運、その他の体験の拡大(動きや変化による「体験の拡大」への感動)

●R:Relate

 愛、つながり、優しさ、親近感、愛着、調和、一体感、感謝、承認、尊敬、その他の関係性の拡大(人や物へのつながりに基づく「関係性の拡大」への感動)

 

今回のラグビーワールドカップの私の感動体験をSTAR分析すると

●S:Sense

 スタジアムの大きさとフィールドの緑、オールブラックスの黒のユニフォームの華麗なパスワークを観て感動した。

●T:Think

  “ハカ”の儀式から、これは勇者の誇り、自民族・自国への誇りであることを知り、感動した。

●A:Act

 4年に1度のワールドカップを観戦できたこと、また世界一のオールブラックスの圧勝の場面に立ち会えたことに感動した。

●R:Relate

 親しい仲間と観戦し温泉に浸かり、また別府市長はじめ大分のラグビーファンのみなさんと酒を飲み、歓声を上げ、親しく語ることができたことに感動した。

 21世紀に入り、社会はモノの豊かさからココロの豊かさへ進化してきた。その究極が「感動のマネジメント」ではないかと思う。

「他人を感動させようとするならば、まず自分が感動すべきである。そうでなければ、いかに巧みな作品も決して生命ではない」(ジャン・フランソワール・ミレー)

 

 

ラーニング・システムズ

高原コンサルティングオフィス

 高原 要次