小さな「働き方改革」

今年3月31日で株式会社を閉め、個人事業主(コンサルタント・オフィス)に形態を変えてビジネスを継続している。急に思いついて変更した訳ではなく、5年ほど前から構想し、試行し、準備して実行した。社員も今までにそれぞれが独立しているし、最後に残った社員も担当していた顧客を持って自身の会社を立ち上げた。

 

都市の一等地の広いオフィスを引き上げ、自宅の2階を改修してビジネス環境を整えてオフィスにした。毎日定時に満員電車で通う「通勤」がなくなった。直接顧客を訪問しての打ち合わせ、逆にお客さまに自宅に来てもらっての食事とビジネス・ミーティング。「勤務時間」という概念から離れ、「24時間自由時間」である。但し、ビジネスのアウトプットは保証しなければならない。国や企業レベルの“大きな働き方改革”ではなく、私個人の“小さな働き方改革”である。

 

それは、仕事の効率化・生産性向上を目指しての変革ではなく、まさに“働くこと”そのものの質の変化である。“稼ぎ”(ビジネス)の仕事だけではなく、“稼がない”(非ビジネスの)仕事も広がり、地域社会での多くの関わり、大学での学生達との語らい、日本に来ている留学生のサポート、そして農業、と「自由時間」で間口を広くして仕事をしている。更に「お寺」の仕事も加わり、深みも少し増したようにも思う。
ビジネスに限って言えば、「より売り上げを伸ばす・もっと利益を上げる」とは思わず、「より喜んでもらう・もっと価値あるものを」と志向する。そして、正々堂々のビジネスを行う。
更に言えば「次の世代」を育てる、役に立つ。これからの時代を創っていくのは若者たちであり「果敢にチャレンジする彼ら」が主演者で、歳を重ね知識と経験(智恵)のある我々は助演者として彼らをサポートする。仕事の役割も変わってくるのである。

 

今日本は、「財政破綻のリスク」、「国や企業、大学の国際競争力の低下」、「地方の衰退」、「他国への依存度が高い安全保障」と看過できない事態である。その根源的な課題は「人口減少」と「少子高齢化」であり、自分たちの将来が危うい。しかし国民の75%は「現在の生活に満足」と思っており、危機感がない。
国のグランドデザインを描きこの国を作り替える政治、企業の付加価値と効用を再設計する経営、そして各人の生き方・働き方の質を変える、“大きな働き方改革”を行わないと、この国は危うい・・・!

 

ラーニング・システムズ
高原コンサルティングオフィス 
高原 要次