2014年6月 “ 八十八夜に飲むお茶 ”

 新茶が出回る時期になると、家の裏にある茶畑の新芽も、ぐいぐい伸びてきます。あまり広くはないですが、我が家にも茶畑があります。昔はお茶葉も自前で一年分を作っていたそうです。今年も縁起の良い、自家製八十八夜のお茶を作ることにしました。

 立春から数えて88日目の、5月1日~3日頃を八十八夜と言います。お茶の木は3月~4月に目が伸び始め、4月後半~5月に1番茶を摘むようになります。霜のなくなる安定した気候の訪れる時期で、今年は八十八夜が5月2日でしたので、2日間かけて新芽を摘み取りました。

摘んだ茶葉は厚手の鉄なべを熱してから(茶葉を入れた瞬間パチパチと音がするくらい)茶葉を入れ、手早く焦げないように撹拌し、炒ります。しんなりした茶葉はゴザの上で体重をかけてしばらく揉み、それを広げて日に干します。ある程度乾燥したら鉄なべに戻し、今度は出来るだけ弱火にして充分に乾燥させて完成です。

 義母が元気な頃は、現在よりお茶の木が多かったので、何日もかけて手摘みをしました。手摘みする義母の手つきとスピードに驚いたものです。新芽だけを摘み取る手際のよさに見とれてしまうほどです。そして炒って揉んで乾燥させるという工程を義母は何度もやっていましたが、私はそんなに上手には出来ません。けれどもその日に飲むお茶は自分で摘んだ満足感も重なり、香りも味もとても良いです。

 お茶の歴史は1200年にもなるそうですが、木は生命力の強い木で、葉を摘んでもまた新たに新芽が伸びてきます。そのため、日本では1年に3回ほど茶摘みが行われています。今年初めて萌え出た新芽からつくられる一番茶が新茶と呼ばれ、テアニンなどのアミノ酸を多く含む最も香味豊かなお茶とされます。その後、二番茶(6月中旬~7月中旬)、三番茶(7月中旬~8月下旬)と続きます。

  「夏も近づく八十八夜~♪・・・・」 

八十八夜に自分で摘んだ茶葉で、季節を感じながらゆっくり新茶を飲む、最高です。

                                                                         (原口佳子)