2012年3月 ” 花を愛でる ”

  冬の寒さはいつも厳しくて、心が閉じこもりがちになりますが、目を庭におろすと真っ赤な実をつける‘せんりょう’や‘まんりょう’、赤い花の‘椿’、黄色の花をつける‘ロウバイ’などの花木やたくさんの‘水仙’の花たちが私たち家族の心をなごませてくれます。

冬の空を彩る‘ロウバイ(蝋梅)’は淡い黄色の花がお正月頃から咲きだし、上品な香りがして大好きです。花びらは分厚くロウのような質感があります。生前の義母も花が大好きで、特に栽培が難しい‘エビネ’は自慢の花でもありました。また水仙やユリは庭のところどころに次々と咲くので、毎週一輪挿しに挿して楽しんでいます。毎年一緒にお正月に活けてたこの‘蝋梅’と‘椿’‘ユリ’‘水仙’等は義母を懐かしく想い出させてくれるのです。

                     

“スイセン”と言えば、平成7年の阪神・淡路大震災では震災発生後、天皇皇后両陛下が被災地に行かれました。その時、皇后陛下は御所に咲いた“水仙”をお持ちになって崩れ落ちた建物のうえに手向けられたそうです。そして今回の東日本大震災。自宅が流されたのに、庭で咲いていたという“水仙”の花を皇后陛下に贈ることが出来た方がいらっしゃるのです。この方の自宅は流されたのに、花は流されず陛下の手に渡された...

日本のたくさんの人が、このあたたかい出来事に胸があつくなったことでしょう!花を愛でることは、私たち人間に思いやりのある優しい心を育むのに大事な役割のひとつなんだとつくづく思います。

 -東風吹かば匂いおこせよ梅の花       主なしとて春な忘れそ-

ほら、春の足音がすぐそこに。  (原口 佳子)