“TPP賛成!原発賛成!武器輸出賛成!”

  先日稲刈りが終わり、百姓の私は少し安堵している。今年、地区の農事実行組合の組合長の順番が回ってきた。行政と農協との双方からの「仕事」が委託されるのであるが、先般TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)反対の署名を集めることを依頼された。実は私は、TPP賛成である。「TPP賛成なんですが・・・」と言った途端、「日本の農業がどうなってもいいんですか!」、「食糧自給率が14%にさがるし、安全・安心な食糧が確保できませんよ!」「それでもあなたは実行組合長ですか、日本人ですか!」と罵声を浴びた。

  また、街中で原子力発電所撤廃の署名を求められた。「原発賛成なんですが・・・」と言った途端、これまた「フクシマと同じような事故がおきてもいいんですか!」、「危険な放射能をあなたは容認するのですか!」「子供たちが被爆してもいいんですか」と詰問された。

  「農業から日本を見るのではなく、日本から農業を見てはどうですか」。「日本は、世界の国々との交易によって成り立つ国であり、国内だけでは完結しない。より市場を広げ、経済基盤を強くする必要がある。農業も保護するのではなく、長期的には強い農業を目指し、魅力のある産業にしなければならない」と言いたい・・・。

  「地震は天災だが、福島第一原発の事故は人災。人災ならば克服できる。今回のこの経験を科学化し、より高い技術で原子力平和利用の安全化を完成させるのが、日本の国際社会に対する責任である」。「確かに、村上春樹氏が述べたように効率重視の生き方からパンドラの箱を開けたのかも知れない。しかし、もしここで原発を捨て、原子力に関わる技術を捨てることになれば国家の損出である。原子力依存ではなく、エネルギーミックスとして原発は残し、国家レベルで原発のマネジメントを行うべきである」と言いたい。

  杞憂するのは、論理もなく、議論もなく、魔女裁判のごとく、反論を認めない風潮である。しかも、国家観を伴わず単なる表層的な個人的な感情から、飛躍した結論に導くのは大変危険である。

  「武器輸出賛成なのですが・・・」、さてさて、どんな罵声がとんでくるか・・・。

                                                            代表取締役社長 高原 要次