「6・18」と「アルベルト」

08photo-fj031908年6月18日、ブラジルのサントス港に781名を乗せた“笠戸丸”が入港した。第1回ブラジル日本人移民の到着である。その後25万人の日本人が太平洋を渡り(移住し)、現在5世まで含め、150万人の日系人がブラジルに住む。この6月18日が「海外移住の日」であり、今年ブラジル日本人移民100周年である。
日本で生活できず、ブラジルに行く“捨てる覚悟”。新天地で一攫千金を狙う“一旗の覚悟”。日本人と開拓者の使命を帯びての“拓殖の覚悟”・・・。過酷な環境と幾多の困難を乗り越え、ブラジル社会に貢献する日系人は今“ガランチード(信頼できる人)”と呼ばれる。この言葉は、「誠実」と「覚悟」を持った先人の遺産である。
ブラジルより早く1899年にペルーへの移住が始まった。1938年7月28日、ペルー移民にアルベルトという男の子が生まれた。農科大学卒業後、フランス・アメリカに留学し、母校の学長になる。そして1990年、彼の誕生日(7月28日)に大統領に就任、フジモリ大統領である。 防弾チョッキを着けず、首から数珠を下げての市中視察、テロとの戦い。大統領の覚悟である。後に大統領辞任後、福岡で食事をしながらフジモリ氏に問うたことがある。

「大統領時代、大事になさっていたことは何ですか?」と。

それは、「意外性」と「責任」。人が期待する事以上の行動を示す。人が期待する時より早く行動する。今の期待に応えるより、将来の期待に応えるために行動する。ペルーの今に対する責任と同時に、将来のペルーに対する責任がある。まさに、リーダーの覚悟である。

次回の食事は、「リマの西海岸“コスタ・ベルデ”で、ピスコ(白葡萄の醸造酒)を飲みながらセビッチェ(魚介類マリネ)を!」と言って別れたが、いまだ実現していない。 (高原要次)