「靖国神社」

  高市早苗総理になり、彼女が靖国神社に参拝するか否かをマスメディアは大きく書き立てる。総理大臣が、その国に殉じた人を敬い、参拝するのは当然であろうと思うのであるが、基本から逸脱した問題に考慮せざるを得ず、ことは簡単には運ばない。

 そもそも「靖国神社」は、戊辰戦争の死者を弔うために、大村益次郎(村田蔵六)の提案で創設された「東京招魂社」がはじまりである。戊辰戦争での戦死は、それまでの「藩」「藩主」のための戦死ではなく、新しく誕生しようとしている新国家のための戦死であった。新国家が「公」であるためには、戊辰戦争の戦死者を「公死」とする必要があり、招魂社ができたのは、そのような事情からであった。招魂社は、日本における近代国家の出発点だったと言える。以来、西南戦争、日清戦争、日露戦争、大東亜戦争に至るすべての戦没者、246万6532柱の英霊が祀られている。

 国のために亡くなった先人を敬い、その施設である「靖国神社」を総理大臣が参拝することを、なぜ問題にするのか。おおきくは3つ。

 1.A級戦犯が祀られている

 2.アジアの国々の気持ちを踏みにじる

 3.政教分離に反する

1. A級戦犯が祀られている                                          
古来、国家としての戦争は違法ではない。戦争は合法である。国家の最終的な政治意志の表現手段として認められているものであって犯罪ではない。ただ、合法であるとはいえ、「何でもやってよい」か、というと断じてそうではない。あくまで、戦争を行う上にもルールが存在する。それが戦時国際法規である。大東亜戦争の後に開かれた極東軍事裁判(東京裁判)で「A級戦犯」として訴追された人々は、戦時国際法規に接触する行為を行った者は皆無である。                                            
そもそも、戦勝国が戦敗国を裁くという裁判は、国際法上ありえない。

2. アジアの国々の気持ちを踏みにじる                                    
アジアの国々というが、首相の靖国参拝を非難しているのは中国、韓国、北朝鮮のみである。他のアジア諸国は、異議を唱えていない。そもそも、日本が戦った中国軍は蒋介石率いる国民党であり、いまの台湾(中華民国)である。また、韓国・北朝鮮は大東亜戦争時は日本領であり、朝鮮人将兵は日本の軍人として一緒に戦っている。                     
どうも間尺に合わない。

3. 政教分離に反する                                              
宗教とは、①教祖がいる② 経典がある ③教団がある、という3つの要素が必要であるが、その観点からいえば、日本の神社は宗教ではない。その源泉は、自然を畏敬する神信仰であり伝統精神文化である。日本人が、より日本人らしく生きようとすれば、神事はかかせないし、高市総理も正月には伊勢神宮に参拝した。

 これら3つは、いずれも総理大臣の靖国神社参拝に反対する理由にはならない。むしろ総理大臣が、この国に殉じた先人を敬い、祀ることは国のリーダーとしての責務である。

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